株式会社三菱地所設計(所在地:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:谷澤 淳一)は、中国江蘇省の最大都市・蘇州市の大規模交通ハブである蘇州北駅前の開発計画「蘇州北駅TOD複合開発」に関する国際設計コンペに当選しました。
- TOD(Transit Oriented Development)とは、鉄道駅などの交通結節点を中心に商業施設・オフィス・住宅や、公園・市役所などの公共施設、バス等の公共交通を組み合わせ、自動車に過度に依存しない持続可能な都市を目指す開発です。
経済発展が見込まれる交通の要所での「駅と街の融合」を目指すまちづくり
計画地・蘇州北駅は、蘇州市の北側にある高速鉄道(高鉄)駅で、5つの地下鉄線の駅が集中する交通ハブです。上海虹橋駅から高速鉄道で25分の距離にあり、蘇州~上海~杭州の「長江デルタ地帯」の重要な位置を占め、今後、街の発展が期待されるエリアにあります。
ここでは「駅と街の融合」という開発目標に対し、「3レイヤー×3ネットワーク+1システム」を掲げ、駅や周辺環境と調和し、人を中心とした未来のまちづくりを提案しました。
「3レイヤー×3ネットワーク+1システム」で都市を持続的に発展させる
「3レイヤー」は都市に求められる3つの機能である ①賑わいあふれる公共空間の機能、②自然と融合する憩いの空間の機能、③都市の機能を支える交通などのインフラストラクチャー、を意味します。
「3ネットワーク」は、①空中、②地上、③地下の各動線を指します。
そして「1システム」は街を持続的に発展させるプログラムです。
各レイヤー、ネットワークの接点には「中間領域」を設け、有機的に空間を複合させることで人と人、都市と環境、都市と駅をつなぎ、人が集まり発展していく街をつくり出します。
また、各地下鉄駅前には、蘇州の伝統的な都市景観から抽出した<街・城・廊・苑・坊>という特徴的な空間要素を配置し、各々の街に新たにつくる景観、用途、機能により周辺開発とのつながりを強め、それらを東西に繋ぐ歩行者専用通路「仲通大街」により、駅と街の一体性を高めます。
人や環境をデザインのテーマとした駅と有機的につながる都市景観
今回当選した当社の提案では、開発エリアの北側に広がる「環秀湖」を中心とした豊かな自然環境を迎え入れるように放物線形状の高層棟を配置。都市全体がすり鉢状に広がるようなスカイラインを描き、駅を中心とした都市景観を創出しています。水郷の街・蘇州の伝統的な建物屋根や湖畔のさざなみをイメージした低層部が、「人」「入」をモチーフとしたタワーの緩やかなカーブへつながる立体的な造形で、自然と調和する有機的な景観をかたちづくると同時に、人々の生活や営みを中心とした街であることを表現しました。各タワーのスリット部はオフィスの共用スペースとして機能。屋外テラスによる緑化環境の導入や縦方向の自然通風を確保、環境にも配慮した設計です。
多様な速度で移動をサポートするモビリティと歩行者通路。
ネットワークの接点に設けられた中間領域として人と人の交流拠点となります。
今回の当選を受けて、今後当社は、ここで提案した蘇州北駅の新駅舎・交通ハブ等と周辺地域の将来的な開発条件を組み合わせ、TOD複合開発の中核エリア(核心区)における建築群のデザインを深めていきます。2024年上期に核心区の一部について開発がスタートする見込みです。
プロジェクト概要
Data
名称 | 蘇州北駅TOD複合開発設計 |
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所在地 | 中国江蘇省蘇州市 |
主催者 | 蘇州駅城融合開発建設有限公司 |
用途 | オフィス、商業、ホテル、住宅 |
敷地面積 | 都市計画設計範囲2,450畝(約163ha)※建築設計範囲を含む |
開発面積 | 建築設計範囲 約135万㎡ |
当選企業体 | 株式会社三菱地所設計(代表)深圳市蕾奥(LAY-OUT) 規画設計諮詢股份有限公司、上海建築設計研究院有限公司 |
■ 関連ニュースリリースのご案内:三菱地所設計の中国における都市開発プロジェクト
2023年7月10日発信:
駅を拠点に『Super Mix』を目指す、新たなまちづくりへ
中国にて「杭州市銭江新城二期産業本部核心区都市設計に関するコンペ」に当選
https://www.mjd.co.jp/news/58006/
中国・浙江省の省都である杭州市の新たなCBD(中心業務地区)である銭江新城の開発計画「杭州市銭江新城二期産業本部核心区都市設計に関するコンペ」に当選しました。
駅を中心としたエリアごとに、地域の歴史的価値を生かした異なる個性を与え、それら複数の機能・用途が融合しながら連続する『Super Mix』となる未来のまちづくりを提案したものです。現在、深化設計とガイドラインの作成を進めています。
以上