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2024.01.26

「アラビ庵」および「ベネチ庵」の全容を公開

好評の中で閉幕した、ドバイの地域特性からデザインされた茶室シリーズ

展示風景。ドバイ首長国の象徴的な超高層ビル群を背景に、ファッション産業や専門的なデザインに特化した都市開発地区である、ドバイ・デザイン・ディストリクトに展示されました。
Photo: Takuya Seki

株式会社三菱地所設計(所在地:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:谷澤淳一)は、ドバイにて開催されたドバイ・デザインウィーク2023(会期:2023年11月7~12日)に出展した茶室兼家具のパビリオン、「アラビ庵」および18 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2023年)に出展した「ベネチ庵」の技術詳細を含む本プロジェクトの全容を公開いたしますことをお知らせします。

資源の循環と地域性への応答を実践する、「ベネチ庵」に続く第二弾

英語の「Arabian」(「アラビアの」)と日本語の「庵」から名付けた「アラビ庵」は、今日、世界的に注目される「サーキュラー・エコノミー」(『循環経済』:ストックを有効活用しながら、新たな価値を生み出す経済活動)の実践の試みとして、現地文化に見られる食品廃棄物(茶がらとドライフルーツ)を原料とした新素材と循環性ある資源(再生紙)を建材とした茶室です。
これに加え、設置される場所の緯度を設計に取り入れ、世界各地で展開できる普遍性と地域固有性を両立しています。会期終了後にはさらなるアップサイクルとしてパーツ毎に解体され、さまざまに造形可能な家具として再構成・再流通させる予定です。
本パビリオンは、2023年5~11月まで開催された、ヴェネチア・ビエンナーレ2023における展示イベント「Time Space Existence 2023」に出展しましたプロトタイプに続く、第二弾の展示です。

「アラビ庵」の建築的特徴について

1.展示会場の緯度から形態を生成する

展示会場となるドバイ首長国の緯度(25度)に着目。日射をパビリオン内に適切に導入/遮蔽するため、この角度を基調としたフレーム構成としています。フレームは、ミウラ折りを線材化して積層したもので、構造の要となるジョイントパーツは、力をスムースに流す曲線的なデザインとしています。これは三菱地所設計にてR&Dの一環として研究が行われていた継手技術を展開したものです。
本パビリオンのシステムは設置場所の緯度に合わせたデザインで展開され、先のベネチアでの展示の際は、当地の緯度(45度)を基調として設計され、それぞれの地域性へと回答しています。

左:ジョイントのモックアップ。 右:パビリオン全体を構成するジョイント部分(継手)。25度を基調に構成された、茶がらでできたジョイントが8方向に伸び、再生紙の軸材に差し込まれます。

3.展示期間終了後の展開

展示期間終了後、「アラビ庵」は各パーツに解体されます。所有希望者は、オンライン上で自分がほしい形状をつくり、NFT化した組み立て図とセットで部材を提供する予定です。この際、3Dデータも提供し、3DプリンタやNC加工機を用いてパーツを作成、拡張することも可能です。
家具化を前提に設計が進められた「アラビ庵」は、家具部材により形成された茶室とも言えます。

今回、「ベネチ庵」と「アラビ庵」という異なる国の再生素材を開発し、設置場所の緯度に合わせたデザインに展開していくことで、「サーキュラー・エコノミー」の建築設計事務所における実践・実証の実施いたし、日本の伝統文化の茶の湯の空間として、アート作品として、海外でも評価をいただきました。今回このプロジェクトの技術面や全容を公開することで、国内外で様々な展開をしていくこと、NFT化により多くの方に提供できますことを期待しております。
ぜひご取材いただけますようよろしくお願い申し上げます。

展示期間中には、無茶苦茶のプロデュースによる茶会が催され、現地の方々をもてなし、ご好評をいただくことができました。
Photo: Takuya Seki
内観。 Photo: Takuya Seki

アラビ庵(Arabi-An Tea House)展示概要

展示期間2023年11月2日~6日
会場ドバイ・デザイン・ディストリクト
設計・施工藤 貴彰(三菱地所設計・tyfa/Takaaki Fuji + Yuko Fuji Architecture
稲毛 洋也(三菱地所設計)
De Yuan Kang/カン・デユェン(三菱地所設計)
Vibha Krishna Kumar/ヴィバ・クリシュナ・クマー(Mitsubishi Jisho Design Asia)
制作協力町田 紘太(fabula)…食品廃棄物部材製造
室島 満(室島精工)…食品廃棄物部材用金型制作
大澤知士(三越伊勢丹プロパティ・デザイン)…食品廃棄物床材製造加工
日本化工機材…紙廃棄物紙管製造
大出 治(シリカジェン)…超越液防水調合
内田 徹(漆琳堂)…漆防水調合
中野 秀治(IWS)…コルク床材製造
茶の湯宇野 景太(無茶苦茶)…プロデュース
松村 宗亮(無茶苦茶)…実演
主催Dubai Design Week
WEBhttps://www.dubaidesignweek.ae/
主要用途パビリオン、茶室
寸法2,500×2,500×2,500mm
構造ミウラ折りフレーム積層構造
材料廃棄物(茶がら、ドライフルーツ、コルク、紙)

設計者プロフィール

以上

本件に関するお問合せ先

株式会社三菱地所設計 広報室
TEL 03-3287-5001

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