株式会社三菱地所設計(所在地:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:谷澤 淳一)は、2023(令和5)年度省エネ大賞(主催:一般財団法人省エネルギーセンター)の《省エネ事例部門》にて、当社の設計による「三菱電機ZEB関連技術実証棟『SUSTIE』」(竣工:2020年8月)が「省エネルギーセンター会長賞」を受賞したことをお知らせいたします。
本賞は、省エネの推進や優れた省エネ製品の開発を行う事業活動を表彰し、省エネ意識の浸透や関連産業の発展により、省エネルギー型社会の構築に寄与することを目指すものです。
右:省エネ大賞授賞式(2024年1月31日(水)、TOC有明/東京都江東区にて)における「SUSTIE」チームの表彰。
日本初!「環境配慮」「快適・健康」を評価する3つの認証を最高ランクで取得
「SUSTIE」は、徹底した省エネ化を図ることでBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)最高評価『ZEB』を取得。また、多数のワーカーが執務にあたるオフィスビルとして高い快適性・健康性ある空間を創出し、CASBEE-スマートウェルネスオフィスで最高評価「Sランク」を取得しました。さらに、建築物の環境性能を評価するWELL認証で最高ランク「プラチナ」を取得し、世界標準の指標により評価されました。「SUSTIE」は、国内で初となる、これら3つの認証を全て最高ランクで取得した建物です。
- 共同受賞/三菱電機株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社弘電社、三菱電機冷熱プラント株式会社、三菱電機システムサービス株式会社。
- 年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物。
- 一般財団法人建築環境・省エネルギー機構による、建物利用者の快適性・健康の維持・増進を支援する建物の仕様・性能・取り組みへの評価。
- 米Delos社の開発による建築物の環境性能評価。人間工学的な側面(生産性向上など)の評価に加え、そこで過ごす人のウェルネス(快適・健康)を重視している点が特徴。世界的指標として国際的に認知されています。
【計画・評価のポイント①】社会に広く普及できる『ZEB』オフィスビルを目指す
カーボンニュートラルの実現に向け、高い省エネ性能を持つ『ZEB』クラスの建物の普及が求められる一方、今日の『ZEB』ビルは、エネルギー消費が少ない小規模ビルや、広い敷地での太陽光パネルが敷設可能な郊外型ビルが多く、実現するには敷地の制約を大きく受ける傾向にあります。
これに対し、「SUSTIE」では「広く普及できる『ZEB』」を目指し、都市部で一般的に見られる中規模ビル(延床面積5千㎡以上)での実現性を示すべく、「太陽光パネルを建物上のみに設置する」条件で計画しました。こうした社会へのアプローチが評価され受賞に至ったものと考えております。
【計画・評価のポイント②】《環境性能》と《利用者の快適性・健康性》の両立の取り組み
社会に広く普及を目指す上では、利用者が快適さを感じられることも重要となりますが、そのために換気・照明などの設備を増強すると、設備電力が増して省エネ化と逆行してしまいます。
そこで「SUSTIE」では、まず最初に ①自然通風を取り込む開口の設置、庇による直射遮蔽、といった建築的な工夫(パッシブデザイン)を最大限に企図。こうしてエネルギー消費量を削減した上で、②高効率な設備機器を導入(アクティブデザイン)して重ね合わせていく、段階的な検討プロセスで設計を行いました。加えて ③エネルギーマネジメントシステムでエネルギー創出・消費を最適化。運用データを日々取得して、より一層の省エネかつ快適性の高い建物へと成長し続けています。
コミュニケーションスペースを兼ねる大階段は、徒歩による上下階の移動を促し、利用者の健康増進に寄与します。
「SUSTIE」における技術展開
建築的工夫と高効率設備機器を重ね合わせる設計プロセスに、ウェルネス向上につながる機器を導入した「SUSTIE」の技術・空間の一例を紹介します。
天井に照明をつけず、階段やカウンターに間接照明を設置。
「人の周りだけ」効率的に空調・照明し、大空間ながら省エネと快適性を向上させました。
「SUSTIE」では、設備運転シミュレーションをもとに実運用を開始。消費・創エネ量と快適性を可視化し、これをもとに改善を重ねて『ZEB』の達成に至っています。
自然エネルギー(青字)を活用し、そこに高効率な設備機器(黒字)を重ね合わせています。
建築概要
Data
建物名称 | 三菱電機株式会社 ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」 |
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所在地 | 神奈川県鎌倉市大船五丁目1番1 |
用途 | 事務所 |
建築主 | 三菱電機株式会社 |
設計監理 | 株式会社三菱地所設計 |
施工 | 株式会社竹中工務店(建築工事)、株式会社弘電社(電気設備工事)、三菱電機冷熱プラント株式会社(空調衛生設備工事)、三菱電機システムサービス株式会社(太陽光発電設備工事) |
敷地面積 | 85,131.18 ㎡ |
建築面積 | 1,954.52 ㎡ |
延床面積 | 6,456.32 ㎡ |
階数 | 地上4階 |
構造形式 | 鉄骨造 |
竣工 | 2020年8月 |
取得認証 | BELS認証 ファイブスター 『ZEB』、CASBEE-ウェルネスオフィス「Sランク」、WELL認証「プラチナ」 |
※ リリース中の情報は2024年1月時点のものです。今後の運用に応じて変更となる場合があります。 |
2023(令和5)年度省エネ大賞におけるそのほかの当社の受賞プロジェクトのご案内
《省エネ事例部門 業務分野》経済産業大臣賞 受賞※
「高砂熱学イノベーションセンター」
当社は基本計画・基本設計・実施設計としてプロジェクトに参画しました。地下水熱・バイオマス発電・太陽光発電と蓄電池を組み合わせ、エネルギー制御で送電網からの自立を実現。企業のBCP(事業継続性)に寄与すると共に、快適な執務空間の創出を図りました。
共同受賞/高砂熱学工業株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社関電工、株式会社ヤマト、早稲田大学、東京大学。