株式会社三菱地所設計(所在地:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:谷澤 淳一)は、当社が設計した「新菱冷熱工業イノベーションハブ本館」(茨城県つくば市/以下、本施設)が BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高評価である『ZEB』およびCASBEE-ウェルネスオフィス最高評価『Sランク』を取得したことをお知らせします。
さまざまな環境から「働く“FeELD”」を選べる、新たなABWを実践する
イノベーションハブ
本施設では、一般的な研究施設のように建物の内外を切り分けることなく、屋外~半屋外~屋内を、多様な空間・温湿度・光環境を組み合わせた「環境グラデーション」としてひとつなぎにして、さまざまなワークプレイスを展開していくことを設計コンセプトに掲げました。
利用者が働く場所を選ぶことのできるABW(Activity Based Working)に、それぞれの場所の特性に応じて空調制御や照明計画を行い、空気や照明、空間スケールなど、バリエーション豊富な環境(Environment)をプラスした「ABW+e」を掲げ、考察や気づき、新しい価値創出のきっかけを「感じ」られる “FeELD”(Feel /感じる+Field/場所)に満ちたイノベーションハブを目指しました。
- 年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物。
- 一般財団法人建築環境・省エネルギー機構による、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様・性能・取り組みへの評価。
「ユーザの健康・快適性能」「環境性能」双方の認証で最高ランクを取得
バリエーション豊かな空間や、周囲の豊かな緑を取り込んだ環境づくりなどが評価され、利用者の健康性や快適性を支援する建物への認証である「CASBEE-ウェルネスオフィス」では、最高位の5つ星『Sランク』を取得しました。
また、大屋根による日射遮蔽や、その上面に設置した太陽光パネルをはじめ、さまざまな省エネルギー技術の導入によって、設計段階における一次エネルギー消費量を基準値より114%削減し、「BELS」(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高評価である5つ星『ZEB』を実現しました。当社の設計プロジェクトにおける『ZEB』取得は3件目となります。
「三菱電機 ZEB 関連技術実証棟『SUSTIE』」(2020年10月竣工)、「ショーボンド建設 北日本支社新社屋」(2023年6月竣工)に次ぐもの。詳しくはリリース末部をご覧ください。
自然換気やトップライト、屋外から連続する大屋根の木の軒天が特徴的な、光や風を感じることのできる半屋外空間のひとつです。
サーカディアン制御によるアンビエント照明や床吹き出し空調・結露型放射空調で居住域を空調することで、省エネを図りながらも快適な環境を、大規模かつ開放的な空間で実現しました。
(写真:西川公朗)
周囲の豊かな緑地の環境や、地域のシンボルである筑波山を感じられる半屋外空間です。
(写真:西川公朗)
右:2~3階の内部空間であるワークプレイスを見る。らせん階段により接続された一体的な利用が可能な大空間。
(写真2点:西川公朗)
大屋根のもと、多様な空間・温度域・光環境がつながります。
設計・建設プロジェクト通貫での「フルBIM設計・施工」を実践
本施設の設計にあたっては、基本設計・実施設計・工事監理を通じたすべての段階においてBIMを活用した取り組みを行い、干渉箇所の確認や解決、デザイン検討、事業者・施工者との共有を進めました。(国交省「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」に採択/新菱冷熱工業、竹中工務店)。ここでの知見の蓄積を今後の当社の各種設計・監理プロジェクトに展開し、業務プロセスの高度化、効率化に生かしてまいります。
また、当社では2023年4月にDX戦略の重要事項としてBIMを位置付け、「BIM推進室」を「DX推進部」(新設)内へ移管し、BIMの積極的な活用推進・社内普及/教育を行っています。
施設概要
Data
名称 | 新菱冷熱工業(株)イノベーションハブ本館 |
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所在地 | 茨城県つくば市和台41 |
主用途 | 研究所 |
建築主 | 新菱冷熱工業株式会社 |
設計者 | 株式会社三菱地所設計 |
施工者 | 建築:株式会社竹中工務店 |
敷地面積 | 34,676㎡ |
建築面積 | 2,391㎡ |
延床面積 | 4,807㎡ |
構造 | 鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造 |
階数 | 地上3階 |
取得認証 | BELS:5つ星、設計 1 次エネルギー消費量 114%削減『ZEB』 |
竣工 | 2023 年11月 |
関連プロジェクトのご案内:三菱地所設計の『ZEB』プロジェクトについて
※プロジェクト名称をクリックすると、三菱地所設計Webサイト内の各紹介コンテンツにジャンプします。
■ 三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」(神奈川県鎌倉市)
断熱性能の向上、高効率機器の採用、自然エネルギー利用など、建築・設備の両面を高めた、当社設計による初の『ZEB』取得プロジェクト。6,000㎡超もの延床面積を持ちながら『ZEB』を達成した点でも注目されました。太陽光パネルを屋上のみに設置し、敷地面積に余裕のない都市部でも、省エネ性と快適性(WELL認証を取得)が両立できることを示しました。(2020年10月竣工)
■ ショーボンド建設 北日本支社新社屋(宮城県仙台市)
当社設計による2件目の『ZEB』取得プロジェクト。断熱性能を高める一方、大庇を兼ねるバルコニーによりフルハイトの開口を南面に設置。計画段階のワーカー調査を経て、利用実態に即した「必要十分な」空調設備を導入してエネルギーロスを低減。高汎用技術の組み合わせで『ZEB』を実現した、今後のオフィスビル設計の環境性能向上に寄与する計画です。(2023年6月竣工)
以上