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PROJECT TALK

MUFG PARK / LIBRARY

職能間のコラボレーションで、
「新時代のコミュニティ形成」の場をつくる 〈前編〉

PROJECT OUTLINE

MUFG PARK / LIBRARY

銀行が保有する運動場を、一般に開放する施設へと生まれ変わらせたプロジェクト。
貴重な植生が残る緑地を、地域の方々と継承していくものとして整備し、コミュニティ形成の核となるライブラリを新たに設計しました。
社会的に高い評価を受けた本プロジェクトは、どのように進められていったのか?
さまざまな職能からこれに携わった社員に話を聞きました。

竣工年
2023年
所在地
東京都西東京市
用途
公共・文化・スポーツ、公園・外構
テーマ
ランドスケープ
敷地面積
62,524.48m2
PROJECTS

MUFG PARK プロジェクト

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プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。

MEMBER

トークメンバー

髙橋 祐太

東北支店 / 2018年入社

髙橋 祐太

長谷川 結以

建築設計三部 / 2022年入社

長谷川 結以

若原 知広

構造設計部 / 2009年入社

若原 知広

原 由弥

電気設備設計部 / 2021年入社

原 由弥

津久井 敦士

都市環境計画部 / 2011年入社

津久井 敦士

大谷 育夢

都市環境計画部 / 2022年入社

大谷 育夢

THEME 01

プロジェクトの始まりはパークの未来を思い描くことから

津久井:「MUFG PARK」のプロジェクトは、クライアントが計画地の土地利用について検討されていた段階から、私たち土木(都市環境計画部)が参画しました。施設配置計画についてさまざまな提案を重ね、最終的には既存の施設をうまく活かしながら、計画地全体をPARKとして一般開放する流れになったと記憶しています。

髙橋:そうですね。計画地内に「ライブラリーを建てたい」という話が出たところで意匠(建築設計三部)も加わり、具体的な施設計画の検討がスタートしました。

津久井:プロジェクトの特徴は、「PARK」として整備された芝生広場や園路と「ライブラリー」が不離一体のものとなっているところ。まずは意匠と土木でライブラリーの配置を決めました。「ここなら置けそうだ」、「いや、木が当たる」、「じゃあもうちょっとこっちに……」と。
最終的に、芝生広場に面する西側のサクラと東側のアカマツを残し、その間にスポッと収まるような配置になったんですよね。

髙橋:プロジェクト統括の大森さんと「広場の北側の園路に沿ってライブラリーを建てれば、豊かな植生とともに広場を囲む一体感をかたちづくることができるよね」とスタディしていました。このスタディから、広場に面して伸びやかなテラスが東西に広がる建築のプランができました。

津久井:ライブラリーのある芝生広場は、北側に緩やかに下がっていく微地形で、ライブラリーの南東側のアカマツ付近が、土地の中で一番低いところでした。ライブラリーは微地形に沿わせつつ、ちょっとだけ上げてあります。

髙橋:当時、テラスに面して水たまりができないか不安です……と津久井さんに相談したことがあったんですが、「その辺りには一番低いポイントがあるので、建物から逃げるように水が流れるから大丈夫!」と、数センチレベルでとても細かく説明してくれたのでびっくりしたんですよ。

津久井:この地形は広場から見たときに、すごくいい感じに遠近感が機能しているんです。その上、ライブラリーはただの円弧ではなく、一端が直線になるプランを描いていて、これが高低差のある地形にきれいにハマっています。

若原:そういえば、「広場に対して完全な円弧を描くプランにすると、広場への求心性が過剰になってしまうから円弧と直線を組み合わせると、程よくなる」って大森さんが仰ってました。実際、荘厳すぎないイメージをつくり出せていますね。

THEME 02

コンセプト実現に向けて各職能が同じ方向を見つづけた現場

髙橋:「ライブラリー」の設計にあたっては、《森の中の大きな本棚と、人を包み込む屋根》というコンセプトを立てました。途中、「残された敷地内の緑を最大限残すために建物をなるべく小さくしよう」という話になって、限られたスペースをどのように最大化するかを検討し、「柱とサッシ方立を一体化し、空間に柱を落とさないプランにしよう」という方針になりました

若原:構造設計者の立場からは、まず意匠が求めるサッシのサイズ感を探っていきました。空間を最大化したい! 内部空間と芝生広場に連続性を持たせたい! という話は聞いていたので、細く、薄くしたいはずだと想像していました。

髙橋:その通りです。サッシには正面から見たときの透明感を求めていたので、見付(幅)は100mmにこだわりました。これで構造を成立させるために、見込(奥行)はどの程度必要か、目標を立てて解析してもらいましたね。

若原:こういうとき、「じゃあ、見込は200mmを超えちゃうね」と言い切ってしまうのは簡単だけど、意匠的にどう見せたいのかというビジョンがしっかりあり、CGなどでの検証をされていたので、意匠にそういう意図があるのなら限界までやろう、って。そこで、通常より厚い鉄板で鉄骨柱をつくり、強度を担保することにしたんだよね。ただ通常の範疇に納まるかどうかというところまで踏み込んでいるので、鉄骨製作の際に反りが出てしまうんです。それを職人さんの手作業の矯正でこの細い柱を成立させ、防水や錆止めも変形を防ぐための手法を探り、施工に至っています。

原:こうした透明感の追求と同様、内部空間の設計にあたってはモノを少しでも減らして、「武蔵野の杜」の雰囲気にひたれるプリミティブな世界観をつくろうと考えていました。そこで、設備設計の立場からは、天井に取り付ける照明を減らしてタスク・アンド・アンビエント方式の照明にしてベース照度を抑えたり、空調吹き出し口をなくし、床輻射式空調を導入していきました。こうした設備をミニマルにしていく検討は、ZEB Readyの認証取得にも寄与しています。

髙橋:意匠と電気でシミュレーションして、「この照度ならいける」という根拠の上で設計を進めていきました。実は、空間の明るさ感としては、芝生広場に面するテラスから反射する太陽光も効いてくるので、実際に訪れると想像よりも明るい空間になっているんです。

若原:もうひとつ、この建物の見せ場として壁一面の本棚があります。耐震計画の面から言うと、細い柱は地震力を受け持てません。一方、ライブラリーには本棚が必要……。であれば、本棚をひとつの大きな壁として使おう、という話し合いがありましたね。この壁を耐震壁として地震力を受け持ち、細い柱は鉛直荷重を負担するよう棲み分けることにしました。
また、壁沿いに配置する本を載せる棚板の取り付けにも耐震壁は役に立っています。棚板は上から下まですべて片持ち板になっているので、通常の仕上げに使用するような下地材だと負荷が大きくなるところでした。本棚の荷重を支える上でも、耐震壁であるRCの壁があることは棚板の計画のしやすさにつながっています。
棚板も意匠的にこだわるポイントだったので、造作工事をしてもらった家具屋さんと、支柱の立て方や固定方法について、実施設計の中盤から打ち合わせを重ねて実現させました。

原:そうですね。本棚はやはり見せ場なので、本棚に仕込んだ照明の納まりや、配線を隠す方法とか、意匠からのこだわりの要望が多くてなかなか大変でした。ただ、要望するだけではなく一貫して協力的なスタンスでいてくれて、実現に向けて一緒にアイデアを練ってくれたのをすごく覚えています。

髙橋:こういった作業を積み重ね、ひとつのコンセプトの実現に向けて進めていきましたが、その意識共有ができたのは社内定例のたびに方向性を伝え、議論してきたからだと思っています。

若原:それはね、まわりがちゃんと髙橋君がやりたいことを「汲んで」あげよう! としてたのもあると思うよ(笑)

髙橋:汲んでくれていたのか!(笑)

原:それだけでなく、チームを引っ張っていた大森さんが、お互いに話しやすい空気感をつくってくれていたことが大きいと思います。考えを押し付けるのではなく、一緒に議論しよう、と。誰でも「なんでそうなっているんですか?」と言い返していい雰囲気がありましたよね。

若原:髙橋くんと打ち合わせをしたとき、ひとつひとつの事柄に対して「こうしたいからだ」って答えてくれたよね。話し合った結果、考えを曲げるかどうかは別として、きちんとやりたい目標を示して、議論を展開してくれていた。そういう姿勢が「汲んであげたい」とする意識につながったと思う。

髙橋:最初の段階からやりたいことを明確にしていたので、コンセプトもその根拠も、ちゃんと言葉で説明できたことが大きいと思うんです。

津久井:そうそう。「PARK」の基盤工事と「ライブラリー」の建築工事は、契約上別業務という位置づけだったけど、社内の定例ミーティングは一緒にやっていたね。「今日、建築の打ち合わせでクライアントとこういう話になった」、「じゃあ、次のランドスケープの打ち合わせでは、こういう提案をする必要があるね」と情報を共有し、「ひとつのプロジェクト」として進行できていたのもよかったです。

若原:他職能との関わり合いのなかで、全員が職能を超えて「これってどうしたらいい?」と相談し合えるコミュニケーションが図れていました。分からないことはちゃんとお互いに聞いて意図を把握できるよう努めていたから、的を外さずに何事もフットワーク軽く検討できた。みんな好き勝手なことを言っていたかもしれないけど、言うだけじゃなくてお互いの話を聞けていたから、結果的に全員が同じ方向を見て、コンセプトを体現し得るものが建てられたと思います。

職能間のコラボレーションで、
「新時代のコミュニティ形成」の場をつくる
〈後編〉

VOICE社員の声をきく

CROSS TALK

社員座談会

社内制度の行使や異動などを経験した、境遇を同じくする者同士が語るリアル

MID CAREER ROUNDTABLE

キャリア入社社員座談会

経験を活かし新たなステージに挑み、魅力的な建築物を三菱地所設計で手掛けたい

PROJECT TALK

プロジェクトメンバー座談会

職能間のコラボレーションで、「新時代のコミュニティ形成」の場をつくる

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