PROJECT OUTLINE
MUFG PARK / LIBRARY
銀行が保有する運動場を、一般に開放する施設へと生まれ変わらせたプロジェクト。
貴重な植生が残る緑地を、地域の方々と継承していくものとして整備し、コミュニティ形成の核となるライブラリを新たに設計しました。
社会的に高い評価を受けた本プロジェクトは、どのように進められていったのか?
さまざまな職能からこれに携わった社員に話を聞きました。
MUFG PARK / LIBRARY
PROJECT OUTLINE
銀行が保有する運動場を、一般に開放する施設へと生まれ変わらせたプロジェクト。
貴重な植生が残る緑地を、地域の方々と継承していくものとして整備し、コミュニティ形成の核となるライブラリを新たに設計しました。
社会的に高い評価を受けた本プロジェクトは、どのように進められていったのか?
さまざまな職能からこれに携わった社員に話を聞きました。
MEMBER
東北支店 / 2018年入社
髙橋 祐太
建築設計三部 / 2022年入社
長谷川 結以
構造設計部 / 2009年入社
若原 知広
電気設備設計部 / 2021年入社
原 由弥
都市環境計画部 / 2011年入社
津久井 敦士
都市環境計画部 / 2022年入社
大谷 育夢
THEME 03
大谷:新人の私が担当として加わったのは着工したての頃でした。津久井さんから、「ものづくりの手順は現場を見ないと分からないから、最初こそ自分の目で見に行くべきだ」と促され、その通りだな、と思ってほぼ毎週通っていました。
現場が自然そのものなので、問題もいくつか出てきました。たとえば、想定外のところから木の根が出ていて設計通りの園路を施工できないとか。そのたびにクライアントとも相談して、園路の線形を微修正し、既存の樹木を極力残せるように調整してきました。
津久井:測量図上の木って、記号が描かれているだけなんですよ。その木の根がどこまで達しているかまでは分からないから、糸を張りながら園路の位置を決めていく。そういう「現場のリアル」を知ってほしかったんですよね。あれ、確か、長谷川さんを現場で案内したんだっけ?
長谷川:はい、意匠の部署(建築設計三部)に配属されて1か月目の頃ですね。私ひとりで訪れたんですが、初対面だったので「初めまして、津久井さんですか……?」って声掛けして(笑) 当時の現場には森に囲まれた芝生広場しかなくて、配置関係も理解できていなかったので、「今はボーリングをしていて、ここに杭を打って、その上に建物ができるんだよ」って津久井さんから説明を受けることができて本当によかったです。
髙橋:何か理由があって意匠チームが案内できなかったんだと思うけど、これがプロジェクトチームの「職能を超えた連携」ということかな……?(笑)
若原:全員がコンセプトや方向性をよく理解できていたからだよね。誰が案内しても違う職能の範囲まで説明できるっていうのはすごくよかったよね。
長谷川:私は、実施設計は終わっていて現場が始まる段階から参加したので、毎週1、2回の打ち合わせでカラースキームや家具の選定などをスピーディに決めていくのですが、まずは大森さんと髙橋さんが設計時に考えてきたことを理解し、吸収していくことに必死でした。例えば、ある箇所のカラーを提案する際も、どれだけ建築全体との関係性を持たせるべきなのか、とか。大詰めの時期なのでクライアントからも密に連絡が入り、変更案の作成を繰り返して……。
髙橋:大変だったと思うよ。なかなか曲げないふたりを相手にして(笑)
長谷川:でも、ふたりとも常に「一緒に考えよう」っていうスタンスで構えてくださっていたのが嬉しかったです。私の提案をどうブラッシュアップしていこうか、という感じで。
髙橋:こうして意匠チームで練ったカラースキーム案は、長谷川さんからクライアントに説明してもらいました。大森さんが「長谷川さん、やってみよう!」って。
長谷川:当日、打ち合わせの場で「やってみよう!」って(笑)
若原:これをご覧になっている就活生に誤解のないように言うと、ひとりでやらせようという意味ではなく、きちんと上司・先輩がフォローできる状況をつくっていますから安心してください。
大谷:基盤工事で設置するキュービクルや受水槽などの基礎は構造検証を要するので、若原さんに何度か構造計算をお願いしたのですが、初めて相談に行ったとき、私の準備が足りておらず、「スケジュールや依頼・質問の意図は、まず自分で一旦整理してからお願いするのが筋なんじゃない?」と言われました。ああ、これはまさに新入社員研修で習った「仕事の進め方」だ……と感じ、クライアントからの質問なども、一旦自分の考えをまとめてから社内で相談するよう、心がけるようになりました。
髙橋:確かにこれも成長物語だけど、先輩厳しいなあ(笑)
若原:そんなこと言ったっけ?
髙橋:私も「なぜこんなに庇の出を長くする必要があるのか、意匠として合理的に説明してくれないと、検討のしようがない」って言われましたよ。本棚に光を当てたくないと言ったら、「説明が弱い」って(笑)
若原:確かにそれは言った。日照シミュレーションをしてもらったよね?
髙橋:文献を参照し、本の退色時間についての仮説を立てて、1年間に何時間しか本に光が当たらないようにしたいから、この長さの張り出しが必要なんです、と数字を出して説明したら「よし、やろう」って言ってくれました。これは意地悪な話ではなく、みんながちゃんとデザインに納得感を持ってプロジェクトを進めていくという意味で、すごく大事なことだったと思うんですよね。
THEME 04
長谷川:実は、1年目の新入社員が同じプロジェクトに複数人割り当てられるのは珍しいケースで、大谷くんとはお互いに何か相談したいときに聞きやすく、助けられました。
大谷:建築とランドスケープの調整は現場の段階でもたくさんあったので、気軽に連絡が取りやすかったのは同期ならではでしたね。原さんも比較的年次が近いので、色々教えてもらいましたよね。
原:私は建築だけでなく、ランドスケープの電気設備も担当していたので。基本設計段階で計画したものを具体化していくのですが、たとえば設備配管を園路に沿って埋設するにしても、例に違わず現場合わせになるんです。そこで、大谷くんにはたびたびフォローしてもらったりしました。
長谷川:私は今回、本工事で造作した受付やカフェカウンターの設計もさせてもらいました。電気配線を隠したい、きれいに納めたい、と、かなり詳細なモデリングを繰り返したんです。そこに運営者の方々へのヒアリングから得た、ここに引き出しがほしい、コンセントがほしい、といった要望を落とし込んでいくのですが、デザインのこだわりとユーザーのニーズを両立して設計する難しさを強く感じました。
若原:そういう時、髙橋くんから指導を受けて、先輩ってこんなことを気にするんだ、すごいなぁとか思ったこと、ある?
長谷川:家具ひとつを取っても、全体デザインコンセプトと一致しているか、素材感もマッチしているかを大事にされていて、狭くなっている視野を広げてくださった印象です。たとえば、カウンターだったら段差の処理や色の切り替え方を何パターンも検証して……。
髙橋:1年目って、そもそも設計の進め方も何がなんだか分からないと思うんですが、長谷川さんは「分からないなりに、ちょっと描いてみたので見てください」って持ってきてくれる頼もしい後輩だったので、「こうしたらいいんじゃない?」みたいな会話を頻繁にしていました。大変だったと思いますが、結果的に運営者の方々にも喜んでいただけて、素晴らしいものができたと思っています。
長谷川:そう言ってもらえるとすごくうれしいですね。
原:やはり初めて携わったプロジェクトが竣工したときの想いというのは私の場合も忘れ難いものがあるんですが、若手ふたりはどうでしたか?
大谷:竣工間近のある日、ご近所に住んでいるおばあちゃんが「まだオープンしてないの?」ってふらっとやってきたことがあったんです。検査などが立て込んでとてもきつかったのですが、地域の人は完成を楽しみにしているんだ! ということをリアルに感じられてうれしかったのがすごく記憶に残っています。開園してからは何度もプライベートで訪れていますが、放課後に遊んでいる学生や、散歩している人たちを見ると、まちに開かれたいい施設だなと思って、誇らしく、感慨深いです。
長谷川:竣工間近の現場に行ったとき、図面や3Dモデルで見ていたものが想定していた通りにでき上がっていて本当に感動しました。訪れる度に芝生広場と建築の一体感がすごくいいと改めて思います。さまざまなメディアにも注目いただき、自分たちの仕事の反響を第一線で感じられることは嬉しいです。そして何より、子どもから大人まで利用者の皆さんが楽しそうに過ごされているのを見ると、このプロジェクトに携われて本当によかったなと思います。
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