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2017.06.01

連載|古図面の旅 No.13

第四号館(仲十号館一号)(明治37年~昭和39年)
[丸の内のインフラ]

東海林 孝男

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第四号館(明治37年9月30日竣工)は曾禰達蔵の設計で馬場先通りに面して建てられた煉瓦造の地上3階建の建物である。この第四号館の設計図をめくっていると、ある図面が目に飛び込んできた。「第四、五、六、七号館廻り道路、下水配置圖」。なんと下水管の設計図である。東京の最初の近代的下水道は明治17~18年頃に煉瓦積み暗渠で造られた神田下水が最初と言われているが、この設計図が描かれたのが明治37年ということを考えると時代背景としては確かにこんな設計図があってもおかしくない。今回は建物の紹介よりもこのインフラの図面を紹介したい。
この「下水配置圖」には下水管の配管ルートだけでなく、配管径まで記載がされている。さらに図面をめくると、道路断面までが描かれている。これは今で言うところの土木の図面である。この時代から今の我々と同じように建物の設計をするにあたり、建築・構造・設備・土木まで網羅する「組織」設計事務所として図面を描いていたのだ。これらの遺構、今もどこかに眠っているかもしれない。
この第四号館の図面、さらに見ていくと給排水系統図とともに便所・洗面所の断面図が出てきた。ちょっと面白いのは当時の小便器の形。どうやら斜めに向かい合って用を足す形で小便器が配されている。これは今だと何だか気まずい配置…。加えてこの建物の図面、建物内に女子便所が見当たらないのだが…。

上段左:下水配置図(第四、五、六、七号館廻り道路、下水配置圖)
上段右:便所・洗面所断面図(便所洗面所切断圖)
下段左:道路横断図(馬場先、鍛冶橋間六間公道最高点接続線及北側地先下水内外濠石高低比較圖)
下段右:便所・洗面所平面図(図面タイトルなし)

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東海林 孝男

しょうじ たかお

大先輩方がどんなことを考えながら、この図面を描きあげたのか。古図面を見ていると、私たちと同じことに悩みながら設計している姿が想像できます。私にとって古図面は、検討のプロセスが感じられることが一番の醍醐味です。

Update : 2017.06.01

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