『ホワイトインフラ思考』とは
三菱地所設計は、変化や多様性を受け入れて進化し続けることのできる社会=《真に持続可能な社会》を実現するための考え方として『ホワイトインフラ思考』を掲げます。
『ホワイトインフラ思考』は、建築や都市のライフサイクルの新しい「インフラ(基盤)」として、さまざまな手法で「空間に冗長性・柔軟性・可変性を与え、それが持続する仕組みを構築する」考え方です。
《真に持続可能な社会》を実現していくためには、急速かつ複雑化を遂げるさまざまな社会課題の解決が不可欠です。課題に対して多彩なアプローチを図ることで、当社の活動を従来の設計事務所の枠に収まることのない、さらに幅広いものとして展開させていきます。
ここで、私たちは3つの方針要素を定めました。
- 《多様性を受け入れる柔軟な空間をつくる》
- 《育成・更新しながら段階的なアプローチを実施していく体制をつくる》
- 《フィジカルとデジタルの融合で向き合う》
これらの方針を取り入れることで「冗長性をもった、柔軟で可変する空間」を実現します。
ここでは、ハードの側面だけではなく、仕組みづくりやデータ活用といったソフトの側面も現代的な手法として機能させる総合的なアプローチを図り、《真に持続可能な社会》の実現に向けた取り組みを強化することにつなげていきます。
『ホワイトインフラ思考』の実践的アプローチ
かつて一面の草原だった東京・丸の内を、日本随一のビジネス街とすべく1890年に「丸ノ内建築所」として創業した三菱地所設計。130年を超える会社の歴史においては「まちを成長させ続けること」「そこで過ごす人びとの営みへの視座」といったかたちで、今日では『持続可能性への取り組み』と呼ばれている思想が連綿と継承されてきました。
そして、三菱地所設計は2022年4月にその英文社名をMitsubishi Jisho Designに変更し、社会課題に対してより幅広い解決手段を“Design”していく姿勢を改めて示しました。
こうした考え方を《真に持続可能な社会》の実現に向けた3つの方針要素と掛け合わせ、ハード的可変性、ソフト的可変性、最先端技術の活用の3つの軸からなる『ホワイトインフラ思考』の実践的アプローチへと整理しました。
このアプローチによって、プロジェクトの初動期・発展期から運用期を経て、さらなるアップデートを図る改善期に至るまで、都市や建築のライフサイクルにおけるさまざまなフェーズに柔軟性や可変性を組み込むことができます。
社会全体のフレキシビリティを向上させる、これからの設計事務所の取り組みの指針です。
「ホワイトインフラ思考」で読み解くプロジェクト例 ① 3rd MINAMI AOYAMA
今日の働き方が求める新たな就業空間の創出に加え、異なる性質を持つ地域の接点において、その環境や人間の過ごし方をより包摂的(インクルーシブ)にするには、という建物内外の課題に応えるプロジェクト。従来のオフィスビル設計のロジックを超えた構成で、さまざまな人びとが敷地内外を回遊・滞在できる、地域のための場所を生み出した。
「ホワイトインフラ思考」で読み解くプロジェクト例 ② Slit Park YURAKUCHO
多様なつくり手が、ビルの敷地境界や屋内外を超えてハード/ソフトの構築に携わり、さまざまな過ごし方やイベントを開催できる空間を設計し、過去、本地域では見られなかった来街者をも誘引。地域に新たな多様性のすがたをもたらすとともに、使い手をも巻き込む運営でその持続性を高めていくプロジェクト。
実践的アプローチから、《真に持続可能な社会》の実現へ
ここで挙げた、「まちと建築と人を緩やかにつなぐことによる、新たな都市の居場所づくり」や「さまざまな主体を巻き込むことによる、多様性や持続性の創出」といった事例をはじめとして、私たちはすでに、日々、さまざまなプロジェクトで多様なアプローチに取り組んでいます。
また、都市の利活用をより自由なものとするモビリティ構想やユーザーからのデータをまちづくりに活かすためのツール開発など、これまでに培ってきた技術力をさらに展開し、幅広い提案を行っています。
こうした実践の積み重ねは、都市や建築のライフサイクルをよりよい方向へと循環させ、それがさらにほかのプロジェクトへと波及・連携していくことでより大きな現代の社会課題を解決し、《真に持続可能な社会》の実現へとつながっていくものです。
三菱地所設計は、『ホワイトインフラ思考』にもとづき、《真に持続可能な社会》のDesignに取り組んでいきます。
次回以降の投稿では、『ホワイトインフラ思考』の取り組みについて、具体的なプロジェクトを取り上げながら紹介していきます。
Update : 2024.06.10